オタクのKさん

忘れたくない今の気持ちと思い出せた過去の書きだめ

2019年度プロ野球 私感

 

 

 

 


昨日で私の2019プロ野球シーズンは終わった。

余りにも呆気なく、まるで一握の砂のように零れていった。振り返ってみればそんなシーズンであった気がする。

 

 

 

(私はチームで言うと広島東洋カープ埼玉西武ライオンズのファンだ。歴で言うとカープの方が長いのだが、今は両チームを応援している。

選手個人だと12球団全てに好きな選手がいる。どうしてカープとライオンズを掛け持ちするようになったのか、については別記事で書きたいと思う。)

 

 

 

 

2018年シーズンにおいて広島東洋カープ埼玉西武ライオンズ、両チームはリーグ優勝という名の栄光を掴んだ。

歴代最強と言って過言ではない打線に引っ張られるようにチャンピオンフラッグを掴んだ両軍はそれぞれに課題を残し、別れを経験した。

広島東洋カープ日本シリーズまで進むも3年連続で日本一を逃し、『3番中堅』の丸佳浩がFA、新井貴浩が引退。埼玉西武ライオンズクライマックスシリーズソフトバンクに破れ、『3番二塁』の浅村栄斗がFA、菊池雄星炭谷銀仁朗のバッテリーがポスティングとFAでチームを去る。)

 

 

ファンはある程度チームを立て直すことを望み、だが心のどこかで「それでも、このチームは勝てるはずだ。きっと日本一になれる。」と淡い期待を浮かべる。そんな気持ちで2019年の開幕を迎えたのではないだろうか。少なくとも私はそうだった。

 

 


広島東洋カープはまるで乱高下を繰り返すかのように今シーズンを過ごした。投手が上手く相手打線をかわしつつ耐えるものの打線の援護がなく、敗北を喫する日。全く反対に打線が噛み合うも投手が炎上し、苦杯を舐める日。そんな日が交互に訪れるようなことがシーズン序盤は多かった。

GW明け、歯車が噛み合うように連勝を重ね、一時は8あった借金を完全返済し、貯金を重ねた。しかしそうして首位に立ったのはほんの一瞬だった。

カープの長年の鬼門である交流戦でそれまでの勢いはあっという間に失われ、夏が始まる頃には首位をあっさりと明け渡してしまう。

 

 

 

 


「このチームはこんなはずではない。」

「このままで終わるような人達ではない。」

『1番遊撃』田中広輔の不調。定まらない3番打者。齟齬のある、どこかちぐはぐなチーム。それでも、はなお、選手達の「諦めていません」という言葉を信じていた。

選手が諦めないなら、最後まで応援しよう。そう思っていた。

しかし、その思いも虚しくカープは調子を上げられることはなく、3位の位置で落ち着いていくようになってくる。私の想いも「優勝して欲しい」から「CS本拠地開幕をして欲しい」へと変わり、よく閲覧しているカープファンの方のツイートにもどこか達観に似た諦めが目に見えるようになってきた。トレンドに挙がったカープファンのツイートには監督、選手等への暴言や心無い言葉が溢れるようになってきた。

 

 

 

そして私は、広島東洋カープから目を逸らすように埼玉西武ライオンズに熱を入れるようになる。

今振り返ると殺伐としてしまったカープ界隈から少しでも離れたかったのだろう。

 

 

 

 


ライオンズも同じようにAクラス争いを繰り広げていたが、私の捉え方は違っていた。

「よくやっている」

「Aクラス争いをするなんて」

こんな思いが試合後の結果を見る度に胸に去来していた。

『3番二塁』と『エース』と『正捕手』を一気に失ったチームがAクラスに入るわけがない。

私はシーズン前、失礼ながらライオンズにそう思っていたのだ。

 

 

 


シーズンが進んでいくたび、それは魔法のように埋まっていく。

外崎修汰のセカンド定着、今井達也や本田圭佑らの台頭、森友哉の攻守の活躍。

1試合が終わる度、ゆっくり着実に失ったモノを既存の人達が補っていく。そんなチームだと見ながら感じていた。

「もしかしたら、もしかするかもしれない。」

8月が進む度にそんな気持ちが膨らんでいった。

それは他のファンも同じだったようで、トレンドにライオンズ関連のフレーズが載るたび、ボルテージが上がっているのを感じた。

そして、首位に立ったその日にそれは確信に変わった。

「ライオンズは優勝できる」と。

 

 


そこからはあっという間だった。

9月、強固な打線によって畳み掛けるように勝ち星を重ねたライオンズは142試合目で連覇という名誉を手にした。

まるで夢のようなシーズンだと感じ、浅はかなファンである私はもうひとつ淡い期待を抱いてしまった。

「これは、今年こそ日本シリーズまで進めるのではないのだろうか。」

去年見た辻発彦監督の涙が、悔しそうな選手の顔が、今年こそ笑顔に変わる時が来るのではないのだろうか。

そう思っていた。

 

 

 

 

そんな淡い期待は脆くも崩れていった。

 

第1戦目の逆転負け。その後私は縋るように信じていた言葉がある。

「このチームはこんなはずではない。」

「このままで終わるような人達ではない。」

馬鹿な私は、数ヶ月前カープに思ったそれをそっくりそのままライオンズにも思ってしまった。

そうして、ライオンズが、つい先日まで見せていた畳み掛けるような攻撃を、「まさに『ミラクル元年』」と揶揄された勝利を掴んでくれると信じながら、一球速報にしがみついていた。

 

その思いも、悲しいことに勝利の女神には届かなかった。

 

 

 

 

全てが終わった今、私は空虚感に苛まれている。

半年以上に及んだプロ野球が終わりを告げたということからだろう。どう足掻いてもこの事実は変わらないのにもしかしたら明日も試合があるかもしれないと思ってしまう。そんな奇跡はもう起こらないのに。

 

 

 

そして、同時に私は後悔している。

もっと真剣に彼らを見つめていればよかったと。

どれだけ巻き戻したくても、過ぎた時はもう戻らない。

「2019年の広島東洋カープ

「2019年の埼玉西武ライオンズ

これらはもう、生で見ることは二度と叶わないのだと言うことに私は恥ずかしながら今更気付かされたのだ。

 

 

「当たり前は当たり前でない。」

至極簡単なことを私はやはり日々の中で忘れてしまう。そして、自分の都合の悪いことから逃げてしまうという悪い癖がどうもついているようだ。

夏のあの日、カープから逃げてライオンズに逃げたことも、クライマックスシリーズをテレビで見つめず一球速報に頼ったことも。

テキストではなく、映像で、できれば現地で彼らを見つめていればもっと違う何かが見ることが出来て、それらから何かを感じられたのかもしれないと本当に後悔している。

もう少し私はプロ野球について真摯に向き合うべきなのではないだろうか。

これは来年への課題としてシーズンオフの宿題としたい。

そして、来年は今年より、良い野球オタクライフを過ごせるようになればいいなと思っている。

 

  

 

ダラダラと書きすぎたので今回はここまでで。